男の恋愛コラム

結婚すると「義務」が発生する!入籍前にチェックしたい婚姻の効力

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「結婚すると、何が変わりますか?」
この質問、きちんと答えられますか?

形式的な変化としては
「どちらかの苗字が変わる」
ということくらいしかパッと思いつかないという方もいらっしゃるかもしれません。

でも実は様々な場面で、結婚をした当事者の法律関係はガラリと形を変えてしまいます。結婚(婚姻)は正真正銘の法律行為なのです

ここでは、結婚したらどんな変化があるのか(婚姻の効力)について、法律なんて堅苦しくて苦手!よくわからない!という人にも分かるようにご紹介します

 

※注意事項※
このサイトでは、法律の知識がゼロの人にも理解できるシンプルな文章を目指しています。そのため専門的な観点から見ると細かな点で説明不足が見られたり、言葉の使い方が厳密には異なる部分などがあります。専門性に欠ける部分についてはご了承ください。

 

 

 

「結婚」は、愛の証明ではありません。

まず、勘違いしてほしくない事があります。
非常にドライな言い方かもしれませんが、結婚というのはそれによってお互いに様々な「権利」と「義務」をゲットするという法律行為です。

「ラブラブです♡の証明」でもなければ
「愛を周りの人に知らしめる行為」とかでもありません。

日本は「法律婚主義」という立場をとっていて、法律で結婚に関するルールを定めています。
私たちはそれに従って結婚したり、離婚したりしているわけです。

 

結婚するとどんな変化があるのか

結婚すると変化するものには、大きく2種類あります。

  • 婚姻によって生じる一般的な変化(氏名が変わるなど)
  • 夫婦の財産についての変化(夫婦のお金について)

それでは、結婚したらどういう変化があるか?について見ていきましょう。
(財産についての話は「夫婦財産制」というカテゴリで改めてお話します。)

以下がその内容です。

 

民法

婚姻の一般的効果
(1)夫婦同氏(750条)
(2)同居・協力・扶助義務(752条)
(3)貞操義務(770条)
(4)成年擬制(753条)
(5)夫婦間の契約取消権(754条)

 

婚姻のその他の効果
(6)親権者(818条1項)
(7)親族(725条)
(8)配偶者の相続権(890条)

 

 

婚姻の一般的効力

(1)夫婦の氏が統一される

民法

(夫婦の氏)
第750条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する

 

(生存配偶者の復氏等)
第751条 夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。
2 第769条の規定は、前項及び第728条第2項の場合について準用する。

法律婚をすると、夫・妻どちらか一方の氏に名前を統一されます。
婚姻届けの「婚姻後の夫婦の氏・新しい本籍」のところで、夫・妻のどちらかにチェックします。

選んだ氏が、新しい戸籍の筆頭者(一番上に名前が書かれる人)となります。
それまで自分の名前が書かれていた戸籍からは名前が消えます。

 

 

(2)同居・協力・扶助の義務

民法

(同居、協力及び扶助の義務)
第752条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

この条文で規定されているのは

  • 同居義務
  • 協力義務
  • 扶助義務

の、3つです。
ざっくり言ってしまえば、夫婦生活はともに力をあわせて行ってくださいということです。

ただし、たとえば仕事の都合で単身赴任をすることになり同居ができなくなったり、夫婦それぞれに一定の収入があるため互いを扶助する必要が無い場合などはこれらの義務は発生しません。

 

(3)貞操義務

貞操義務、というとなんだか堅いですね。
これを直接義務として明示している法律は無いのですが、以下の離婚に関する条文の中で「離婚の訴えを提起することができる」条件で「不貞な行為」を挙げています。

民法

(裁判上の離婚)
第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる
一 配偶者に不貞な行為があったとき
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

貞操とは、男女が互いに異性関係の純潔を守ることです。
つまり貞操義務というのは、夫婦ならば自分の配偶者以外の人と性行為を行ってはいけませんということ。

これを破った場合は民法の「不法行為」に当てはまります。
民事裁判で離婚の訴えを起こすことができたり、慰謝料請求をすることができるということになります。

不倫はもちろんのことですが、性風俗店を利用して性行為をした場合にもこれは該当します。

ただし、たとえば

  • 性風俗店の利用について、配偶者から了承を得ている。
  • 1年以上別居状態にあり、将来的に夫婦として暮らす見込みが無い。
  • 現在、離婚調停中である。

という場合については、
既に婚姻関係が破たんしている(夫婦として平和な共同生活を維持することが困難で、関係を修復することも見込めない状態である)ということになりますので、貞操義務違反には該当しないと判断されることもあります。

 

 

(4)未成年が結婚すると、成年として扱われる

民法

(婚姻による成年擬制)
第753条 未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。

日本では、満20歳をもって成年とされています。(民法4条)
なので19歳までは未成年者であり、その人の親権を持っている人がいます。

しかし、結婚は男性なら18歳、女性なら16歳から行うことができます。結婚したのに親権者がいるとなると行動の制限がかかってしまい、独立して自由に婚姻生活を営むことができません。それだと困ります。

 

なので民法では「結婚したら成人したものとみなす」と規定しています。
結婚をすると親権の期限などは終了したとされ、成人として法律関係の行動ができるようになります、という意味です。
本来なら親権者の許可がないとできない行動が、婚姻による成年擬制によって、親権者の許可がなくてもできるようになります。これなら安心して生活できそうです。

ただし、これは日常生活・社会生活の中で個人間での法律関係の行動を起こす時(私法的法律関係の場合)にのみ適用されるものです。
国や地方団体などに対する法律関係(公法的法律関係)では、適用されません。

成年擬制が適用されない例として

  • 選挙権
  • 飲酒
  • 喫煙

などがあります。たとえ18歳で結婚したとしても、飲酒・喫煙が認められるのは20歳からです。

 

(5)夫婦間での契約は、取り消すことができる。

民法

(夫婦間の契約の取消権)
第754条 夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

夫婦の間で何か契約をしていた場合、結婚したあとはいつでも一方的に契約を取り消すことができるようになります。

たとえば、

夫Aが妻Bに家をプレゼントしたとします。(贈与契約)
夫Aと妻Bがとても仲良しな円満夫婦なのであれば
夫Aが
「やっぱりあのプレゼントは無かったことにして!」
と一方的に言うだけで、プレゼントは無かったことにできるのです。(取消権)

妻Bが「やっぱりあのプレゼントいらないわ!」と言った場合も同じです。

 

夫婦なのに、契約を取り消すためにいちいち裁判や法的手続きをやらなければいけないとなると非常にめんどくさいですよね。なので、円満夫婦なのであれば契約を自由に取り消すことができるようにしているのです。

 

ただし、例外があります。
夫婦以外の誰か(第三者)に迷惑をかけてしまう場合は、取り消すことができません。

たとえば
夫Aが妻Bに家をプレゼントする。(贈与契約)
そのあと、妻Bは友達のC子にその家を売ったとします。

家は現在、C子が所有していることになりますよね。

この状態で、夫Aが妻Bに「やっぱりあのプレゼントはなかったことにして」と言っても、もうすでに家はC子のものになってしまっているので、プレゼントをしたのを取り消すことはできないということになります。

 

 

 

婚姻のその他の効果

(6)夫婦間に生まれた子どもは、その父母の親権に服する

民法

(親権者)
第818条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

夫婦の間に生まれた子のことを「嫡出子」と呼び、父母である2人はその子の親権を持つことになり、子は相続権を持ちます。
もし結婚していない男女の間に子どもが生まれた場合は「非嫡出子」となり、認知をすることによって相続権を得ることができます。

 

(7)結婚する=配偶者になる=親族になる。

民法

(親族の範囲)
第725条 次に掲げる者は、親族とする。
一 6親等内の血族
二 配偶者
三 3親等内の姻族

結婚することによって、お互いが相手の「配偶者」という身分になります。
民法では、親族の範囲に配偶者も入るというふうに書いてあるので、結婚することによって「親族」になることができます。

また、「姻族」というのは、婚姻によってできた親戚のことを言います。
つまり結婚相手の家族のことです。
姻族のうち、3親等内の人も親族になります。

 

 

(8)夫婦は互いに相続権を持つ

民法

(配偶者の相続権)
第890条 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第887条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

婚姻をしている夫婦がいたとして
夫が亡くなった場合、亡くなった人の配偶者である妻は相続人となる権利を持ちます。
逆の場合も同じで、妻が無くなった場合は夫が相続人になる権利を持ちます。

 

 

おまけ:法律婚と事実婚

日本は、「法律婚(届出婚)主義」をとっています。
これは法律に書かれている手続き・届け出をすることによってはじめて婚姻が成立し、婚姻関係にある夫婦についてのルールも法律で定められているという意味です。民法でこれを定めています。

 

これの逆が「事実婚主義」
手続きとかを一切しなくても、結婚して生活をしている事実や、結婚を宣言する儀式をすることによって婚姻が成立するという考え方です。

さて、ここで勘違いせず理解しておきたいのは、
「日本でも事実婚はすることができる」というところです。
非婚のカップル、として認められています。

民法が制定された当時、まだ日本には事実婚という概念がありませんでした。そのため民法でも戸籍法でも、事実婚についての規定がありません。

でも、規定が無いっていうだけです。
事実婚(非婚)カップルとして生活することはちゃんと認められています。

 

しかし、法律婚カップルと事実婚カップルが全く同じ扱いを受けられるというわけでもありません

事実婚(非婚)カップルの場合は、夫婦であることの証明がしづらいため思わぬところで手続きがストップしてしまうことがあります。

また、相続や税金については法定婚カップルのように法律が適用されないので、個別に対策をとらなければならない部分もあります。

 

結婚するメリット・デメリットを比べ、どちらのほうがより自分の生き方としてふさわしいのか考えて選択することが大切でしょう。

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